本文へスキップ
IFAI

ロボット

NVIDIA、人型ロボットのリファレンス設計を発表:Unitree製ボディにJetson Thor搭載

公開 拡散指数 36

NVIDIAはGTC Taipeiで人型ロボットのオープンリファレンス設計「Isaac GR00T」を発表した。Unitree H2 PlusのボディとSharpaの5本指触覚ハンド、Blackwell GPU搭載のJetson Thorを統合し、シミュレーションから実機検証までの開発を一本化する。スタンフォード大などが導入予定で、実機は2026年後半にUnitreeから発売される。

NVIDIA、人型ロボットのリファレンス設計を発表:Unitree製ボディにJetson Thor搭載
画像:nvidianews.nvidia.com

大学や研究機関がヒューマノイドロボットを研究しようとすると、これまでは胴体を別のメーカーから買い、ハンドを特注し、機載PCを自前で組み上げ、シミュレータを一から書くという果てしない下準備が必要でした。

NVIDIAがGTC Taipeiで発表した「Isaac GR00T Reference Humanoid Robot」は、そうした研究現場の分断を一気に解消するオープンなリファレンス設計です。いわば、身体と頭脳、開発環境をまるごと揃えた「研究用標準マシン」の登場です。

宇樹科技の骨格にBlackwell世代の頭脳を搭載

ハードウェア構成はかなり本格的です。ベースとなる車体にはUnitree(宇樹科技)の「H2 Plus」を採用しました。身長約1.8メートル、体重約68キログラムで、身体全体に31自由度を備えています。

両手には触覚センサー付きの「Sharpa Wave」5本指ハンドを組み合わせました。片手だけで22自由度を持ち、全身と手を合わせると自由度は75に達します。腕の最大可搬重量は15キログラムです。

頭脳として胴体内部に収まるのが、新世代の機載コンピュータ「Jetson AGX Thor T5000」です。BlackwellアーキテクチャのGPUを搭載し、FP4精度で2,070テラフロップスのAI性能を叩き出します。14コアのArm CPUと128GBの統合メモリを備え、消費電力は40〜130Wの間で調整可能です。約1kWhのバッテリーで約3時間の連続駆動が可能です。

収集からシミュレーション、実機配備までを統合

ソフトウェアスタックも隙がありません。遠隔操作データ収集ツールのIsaac Teleop、基底モデルのGR00T、シミュレーションと強化学習環境のIsaac SimとIsaac Lab、実機配備用のIsaac ROSがワンストップで連携します。研究チームが集めた学習データやログの主権は研究者側に残されます。

スタンフォード大学、チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)、アレン人工知能研究所(Ai2)、カリフォルニア大学サンディエゴ校などのトップ機関が導入を決めています。完成機はUnitreeから2026年後半に発売される予定で、普及型の「Unitree G1」向けワークフローも間もなくGitHubやHugging Faceで公開されます。

なぜ重要か

フィジカルAIの研究において最大の障壁だったのは、各研究所のハードウェアがバラバラで実験の再現性が取れないことでした。共通のリファレンス設計ができることで、アルゴリズムの比較検証が同じ土俵で進むようになります。

私たちの見立てでは、研究者が低レイヤーの配線や制御ドライバの自作から解放され、マルチタスク動作の学習という本質的な研究に集中できるようになる価値は絶大です。

業界全体で見れば、NVIDIAの狙いは極めて明確です。かつてCUDAでディープラーニングのデファクトスタンダードを握ったように、ロボティクス分野でも早い段階からJetson ThorとIsaacを標準環境として学界に浸透させようとしています。ここで育った研究者が将来産業界に進めば、NVIDIAエコシステムはさらに盤石になります。

課題となるのはコストと納期です。75自由度を備えたフルスペック構成は決して安くならないはずで、すべての研究室に行き渡るかは不透明です。また実機の出荷が2026年後半と先になるため、それまでの間どこまでシミュレーション環境で開発コミュニティを維持できるかが鍵になります。

情報源 (1)

  1. [1]
    nvidianews.nvidia.com(新しいタブで開きます)原文nvidianews.nvidia.com

毎日のAIピックアップ