Salesforceが全製品に「Einstein Copilot」を統合、対話型AIで業務を支援
Salesforceは年次イベント「Dreamforce」で対話型AIアシスタント「Einstein Copilot」を発表した。製品を問わず日常会話で顧客データ照会や返品対応などの作業が可能になる。ハルシネーションやセキュリティ懸念に対応する信頼レイヤーも備え、現在一部顧客向けにベータテスト中だ。

Salesforce はサンフランシスコで開催中の年次イベント「Dreamforce」にて、同社プラットフォーム全体に組み込まれる対話型 AI「Einstein Copilot」を発表しました。
同社は 3 月に Einstein GPT を発表し、メール作成やサポート返答の自動生成を展開していましたが、Salesforce AI の CEO を務める Clara Shih 氏によると、一般的な自動化だけでは多くの顧客ニーズを満たせなかったといいます。
今回発表された Einstein Copilot は、営業、サポート、コマースなど、利用中の画面や文脈に応じた対話形式の指示を可能にするアシスタントです。
メニューを探す手間を会話で省く
これまでのエンタープライズツールでは、必要な情報を探すために何回もクリックして階層をたどる必要がありました。
Einstein Copilot を使えば、営業担当者が新規アカウントの調査を依頼したり、新人サポート担当が 30 日を超えた返品の対応手順を尋ねたりできます。コマース領域では、新製品ローンチ用のストアフロントを自然言語で立ち上げる指示も可能になります。
CRM Essentials のアナリストである Brent Leary 氏は、各社が生成 AI を導入する中で、営業からコマースまで顧客接点の全領域をカバーしている点が Salesforce の差別化要因になると指摘しています。
ハルシネーション対策と信頼層
一方で、大企業が生成 AI を現場で使うには出力の正確性が課題となります。Shih 氏もデータのサイロ化がハルシネーションや不完全な回答を引き起こす要因になっていると認めました。
これに対し Salesforce は、昨年発表した Data Cloud(旧 Genie)のデータ基盤と自社モデルを連携させ、回答の信頼性を高める構成を取っています。さらに、セキュリティやプライバシー、ガバナンスを担保するための仕組みとして「Einstein Trust Layer」も導入しました。
Trust Layer は来月にも一般提供される見通しですが、Einstein Copilot 自体は現在顧客とのベータテスト段階にあり、正式提供の時期は公表されていません。
なぜ重要か
私たちは、Salesforce が単なるチャットボットの流行追従ではなく、自社ソフトウェアの操作負荷を下げる実用的なインターフェース改善に舵を切った点を評価しています。
営業やサポートなど入れ替わりの激しい職種において、複雑な社内手続きを AI 経由で即座に引き出せるようになれば、新人研修のコストを大きく圧縮できる可能性があります。
ただし、業界全体を見ても大言語モデルのハルシネーションを完全に排除する技術はまだ確立されていません。顧客対応や購買に関わる場面で AI が不確かな回答を出せば、ビジネス上の重大なトラブルに直結する懸念が残ります。
現在は限定ベータの段階であるため、一般のユーザーが今すぐ利用できるわけではありません。実用化に向けては、まず社内のデータ基盤が整理されているかどうかが最大の前提条件になると考えられます。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com