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Anthropic、セキュリティ専門家向け「CVP」を3段階アクセスに拡充

公開 拡散指数 49

Anthropicはセキュリティ検証プログラム(CVP)を刷新し、審査制の3段階アクセスを提供開始した。Claude Opus 5.5などの制限緩和モデルを防御分析やレッドチーム演習に活用できる。悪用を防ぎつつ、防御側へ強力なAIツールを安全に届ける狙いだ。

Anthropic、セキュリティ専門家向け「CVP」を3段階アクセスに拡充
画像:anthropic.com

セキュリティの現場で生成AIを活用しようとしたことのある人なら、誰もが同じ徒労感を味わっているはずです。解析のためにマルウェアの断片や検証コードを入力した瞬間、AIが「サイバー攻撃への加担」と誤認し、頑なに回答を拒否するケースが後を絶ちませんでした。

サイバーセキュリティの技術は常に表裏一体です。脆弱性を発見して塞ぐ能力は、そのまま攻撃コードを作成する能力にも直結します。そのため商用モデルには極めて保守的なセーフガードが敷かれてきましたが、結果として攻撃者が脱獄手法を模索する一方で、正規の防御側が手足を縛られる状況が続いていました。

こうした課題に対し、Anthropicは10月6日、検証済み専門家向けプログラム「Cyber Verification Program(CVP)」を大幅に拡充し、3段階のアクセス階層に再編したと発表しました。審査を通過した組織は、安全フィルターが緩和されたClaude Opus 5.5、Claude Sonnet 5.5、Claude Mythos 5.1を利用できるようになります。

権限に応じた3段階のアクセス枠

今回の改編では、重要ソフトウェア保護を目的としていた「Project Glasswing」と従来のCVPが統合され、用途に応じた明確な枠組みが作られました。

第1層の「Defense Access」は、セキュリティ監視センター(SOC)の運用、インシデント対応、マルウェアのリバースエンジニアリング、脆弱性の検証といった防御用途を対象としています。企業、大学、政府機関、インフラ運営者に加え、脆弱性報告実績のある個人研究者も申請可能で、数日程度で審査が行われます。

第2層の「Red Team Access」は、認可された侵入テストやレッドチーム演習の実施を許可する枠です。こちらは組織限定で個人は申請できません。物理的損害をもたらす攻撃やランサムウェアの展開、重要安全システムへの無許可テストなどはリアルタイムで遮断され、審査には数週間を要します。

最上位の「Specialized Access」は、電力網や航空管制、通信網、銀行間送金システムなど、人命や市場に重大な影響を及ぼしうる基盤を扱う組織向けです。米政府と連携した厳格な審査が行われ、従来のProject Glasswing参加組織はこの枠にそのまま移行します。

実効性の検証データも公開されています。複合的なサイバー演習を評価するCyScenarioBenchにおいて、通常モデルは50回すべての試行で最初の指示の段階で遮断されました。一方、Red Team Access層では遮断が一切発生せず、制約なしの状態と同等となる34件のタスクを完遂し、約68パーセントの成功率を記録しました。

12万件超の脆弱性を特定した実績

今回の制限緩和の背景には、先行プログラムでの圧倒的な成果があります。

2026年4月から7月にかけて実施されたProject Glasswingにおいて、パートナー組織はClaude Mythosを活用し、検証済みのソフトウェア脆弱性を12万9000件以上発見しました。さらにAnthropic自身のオープンソース調査でも、4月から10月にかけて5500件が特定されています。このうち3万3000件以上が「重大」または「高」レベルの危険度と判定されました。

Booz AllenやComcastといったパートナー企業は、同規模の脆弱性発見にかかる時間を数か月から数年単位で短縮できたと報告しています。

なお、現時点でCVPを利用する組織には、不正利用監視のためのデータ保持が義務付けられています。今秋後半に顧客管理下のクラウドでゼロデータ保持を実現するソリューションが導入される予定です。プログラムはClaude Platform、Google Cloud Vertex AI、Microsoft Foundryを通じて提供されます。

なぜ重要か

第一線のセキュリティ担当者にとって、正規の調査業務がAIの安全フィルターに阻まれなくなる実利は極めて大きいです。難読化されたコードの解析やPoCの検証でプロンプトの言い回しに頭を悩ませる必要がなくなり、防御作業のスピードを大幅に引き上げられます。脆弱性対応に追われる組織なら、Defense Accessの審査を受ける価値は十分にあります。

業界全体で見れば、Anthropicはフロンティアモデルの「軍民両用性」という難問に対し、禁止ではなく厳格なID検証と政府連携による権限管理で解決を図る実務的な標準を作り始めました。モデル自体の知能競争から、危険なタスクをいかに安全なチャネル経由で供給できるかという運用基盤の争いへと潮目が変わりつつあります。

ただし、懸念材料も残ります。悪用監視を理由にプロンプト履歴の保持が義務付けられている点は、機密性の高い脆弱性情報を扱う現場にとって大きな心理的ハードルです。秋以降に予定されているゼロデータ保持機能が本格稼働するまでは、金融や防衛関連のコアチームが全面導入に踏み切るのは難しいと見られます。

情報源 (1)

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    anthropic.com(新しいタブで開きます)原文anthropic.com

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