Perplexity Computer、米D&Bなど20以上の金融データと連携
Perplexity はエージェントプラットフォーム「Computer」が Dun & Bradstreet や IBISWorld など 20 以上の金融データ源と連携したと発表した。アナリストは自然言語で契約済みデータを横断照会でき、すべての数値の出所を追跡できる。

金融機関のデューデリジェンス業務で最も時間を奪われるのは、分析そのものよりも、無数のデータベースを行き来するブラウザのタブ切り替えです。
ヘッジファンドやプライベートエクイティ(PE)は、投資判断の手がかりを得るために平均で30以上のデータサービスを契約しています。調査メモや投資検討資料を作成するには、別々のツールにログインして数字を突き合わせる手間が避けられませんでした。
米Perplexityは8月25日、AIエージェントプラットフォーム「Perplexity Computer」が、米Dun & Bradstreet、米Guidepoint、豪IBISWorldなどを含む20以上の有料金融データソースと直接連携可能になったと発表しました。対象ライセンスを持つユーザーは、自然言語で横断検索を行えるようになります。
契約済みデータを一括検索、根拠レコードも明示
Perplexity Computerは今年2月に発表されたエージェント機能です。今回のアップデートにより、オープンなWeb上の不確かな情報に頼る割合を減らし、企業がすでに費用を支払っている信頼性の高い契約データに基づいた回答を生成できるようになりました。
連携先には各分野の大手が並びます。Dun & Bradstreetは6億5000万件以上の法人識別データを網羅し、企業系列や信用スコアを提供します。エキスパートネットワークのGuidepointは12万件以上の業界専門家インタビュー記録を保有し、IBISWorldは数千に及ぶ業種の市場動向やコストベンチマークを提供します。
このほか、未公開企業データのCrunchbaseやGrata、米証券取引委員会(SEC)提出書類を分析するAlphaCreekやWisesheets、1万6000社以上の決算説明会音声をカバーするQuartr、暗号資産オンチェーンデータを扱うAlliumやCoinbaseなど、公募株式からPE、暗号資産まで幅広いコネクターが追加されました。
金融実務において極めて重要な点として、出力されたすべての数値には参照元の元データレコードへの追跡情報が紐付けられます。また、前週に発表された「Computer in Email」機能と連携することで、投資案件の概要資料をメールでComputerに転送し、契約データを反映したLBO(レバレッジド・バイアウト)モデルのExcelファイルをメールの返信として受け取ることも可能です。
なぜ重要か
Perplexityのアプローチは非常に現実的かつ巧妙だと評価できます。自社で巨額の費用を投じて金融データを買い集めるのではなく、顧客がすでに契約しているライセンスを持ち込ませる「BYOL(Bring Your Own License)」の形式をとったことで、導入のハードルを下げています。
アナリストや投資担当者にとって、専門データベース間の壁を取り払える価値は絶大です。例えば、Guidepointの専門家インタビューで語られた需要見通しと、対象企業の開示情報を自動で突き合わせ、食い違いがある箇所だけを抽出させるといった高度な作業が自然言語だけで完結します。従来なら半日かかっていた作業が数分で下書きまで終わる計算です。
一方で課題もあります。大前提として各データベースの有料ライセンスが必要なため、中小規模のファンドや個人が低コストで恩恵を受けられるわけではありません。また、参照元が示されるとはいえ、企業買収などの重大な局面でAIが生成した財務モデルをそのまま信用することはできず、人間による厳密な検算が依然として必須となります。
業界全体から見れば、AI検索はWeb上の要約から、高付加価値な企業内・契約データのオーケストレーションへと主戦場を移しつつあります。既存の金融情報端末にとっても、無視できない対抗軸になりそうです。
情報源 (1)
- perplexity.ai(新しいタブで開きます)原文perplexity.ai