マイクロソフトがMAI-Code-1.1-Flash公開、GitHub Copilotのコストを75%削減
マイクロソフトはGitHub Copilot向けコーディングモデル「MAI-Code-1.1-Flash」を発表した。前バージョン比で推論コストを75%削減しつつトークン速度を25%向上させ、CLIや.NETタスクを大幅に強化した。256Kコンテキストを維持したままローカル動作する3ビット量子化版も提供される。

AIコーディングは便利ですが、ユーザーにとってもプラットフォームにとっても、膨らみ続ける推論コストは頭の痛い問題でした。
マイクロソフトはGitHub Copilot向けに最適化された新しいコーディングモデル「MAI-Code-1.1-Flash」を本番環境に投入しました。6月のMicrosoft Buildで発表されたバージョン1.0を置き換える軽量モデルです。
最大の特徴は圧倒的なコストパフォーマンスです。推論コストは従来比で75%削減され、4分の1にまで圧縮されました。さらにトークンのストリーミング速度は25%向上し、同じ作業を完了するために消費するトークン数も25%削減されています。
現場の不満を解消した実戦仕様
マイクロソフトは今回、開発者からのフィードバックを反映し、コマンドライン(CLI)環境と.NETタスクの最適化に照準を合わせました。
その結果、GitHub Copilot CLI環境におけるTerminal-Bench 2.1のスコアは22%向上し、.NET関連タスクの処理能力も15%改善しました。この性能向上は、GitHub Copilot内の数十万に及ぶ強化学習環境を通じて達成されたものです。
実際の開発現場での指標も改善しています。提案されたコードがそのまま採用されて残る「コード残存率」は4%上昇し、開発者のリピート利用率も9%増加しました。
256K文脈のままローカル動作、推論費用ゼロへ
さらに注目すべきは、ローカル環境への展開です。
マイクロソフトは3ビット量子化技術を採用することで、256Kという長大なコンテキストウィンドウを維持したまま、ローカルハードウェア上で動作可能にしました。SWE-Bench VerifiedやTerminal-Bench 2.1における精度は、全精度モデルとほぼ同等です。
これにより、GitHub Copilotのモデルルーターは日常的なタスクをローカルで処理できるようになります。手元のハードウェアで完結するため推論料金は発生せず、より高度な推論が必要な時だけクラウド側の巨大モデルを呼び出す構成が実現します。なお、十分な性能を引き出すには120GB以上のRAMを搭載したマシンが推奨されており、月末までにVS CodeやCLIアプリ向けに実験的提供が始まります。
なぜ重要か
開発者にとってのメリットは明快です。応答待ち時間が25%短縮され、無駄なトークン生成も減るため、コーディングのリズムが途切れません。推奨メモリの要求は高いものの、ハイスペック環境を持つ開発者なら、社外秘コードをクラウドに送らずゼロコストで256K文脈を扱えるようになります。
一方、マイクロソフト側にとっては極めて賢いコスト防衛策と言えます。月額定額制のGitHub Copilotは、ヘビーユーザーが増えるほどクラウドの計算資源を圧迫します。モデル単価を4分の1に削り、さらに一部の処理をユーザー側の端末に肩代わりさせることで、利益率を大きく改善できます。
巨大なパラメータを持つモデルをただ競い合わせるフェーズは終わり、実用領域に絞った高効率モデルとエッジ処理の組み合わせこそが、今後のAI開発ツールの主流になると考えられます。
情報源 (1)
- microsoft.ai(新しいタブで開きます)原文microsoft.ai